2008年12月4日木曜日

ピーター・バラカンと私

記述日時:2006年03月23日16:34

先日、丸ビルのホールで行われたコンサートに独りで行った。

翌朝7時の新幹線で京都に行くので終演後ソッコー帰って荷造り&早寝せねばならず誰かを誘ってもかえって申し訳ない、というのもあったけど例え誘ったとしても「行きた〜い!」というリアクションはあり得ない。まぁそのくらいマイナー(日本では)なアーティストだったわけだ。

ロトフィ・ブシュナーク。モロッコ人歌手、ウード奏者。

かくいう自分もこの人の音楽を聴いたのはこの晩が初めて。にもかかわらず告知と同時にシートをゲットしたのは、前回(今回のコンサートは国際交流基金主催の地中海・アラブ音楽シリーズ第2回目)のナスィール・シャンマというイラク人音楽家のライブが素晴らしかったからだ。例えるなら、それと知らずベートーベンの演奏会に居合わせてしまったかのような感じだった。アラブ音楽という日本でマイナーなジャンルでなければ、とても間近で観られるような人ではなかった(しかも終演後サイン会もあった・・)。なわけでこのシリーズがどれほどお買い得かは分かっていたので、迷わずチケットを購入したのだ。

期待に違わず今回のコンサートも素晴らしかった。ブシュナーク氏の雄大な歌声に歌詞は分からずとも目頭が熱くなった。しかも彼は「ふるさと」と「さくら」をアラビア語歌詞で演奏してくれた。侍のようにストイックだったシャンマ氏がベートーベンならブシュナーク氏はパヴァロッティのような陽気でサービス精神旺盛な人だった。

2回のアンコールを経てコンサートは終了し、僕は急いで席を立ち出口に向かった。狭いホールだが満員の客が通路に溢れ、出口へ向かう列は遅々として進まなかった。すると後ろの方の座席に人混みが空くのを座って待っている男性がいた。痩せた身体、丸い頭、年齢の割に若々しい風貌、オシャレというほどではないが小綺麗な服装。またしてもピーター・バラカン氏だ。またしてもというのは僕がこういう場で彼を見かけるのは一度や二度ではないからだ。彼も独りで明らかに自腹で来ている。多分今日のコンサートに来ているような人種はみんな彼が好きなんじゃないかと思った。

彼の番組(CBSドキュメント)をよく観ているが、彼の守備範囲の広さ、バランスの取れた的確なコメントにはいつだって感心させられる。それに奇妙な偶然だが彼と僕の興味はときどきこのように交差するのだ。きっと微妙にミーハーな所が似ているのかもしれない(笑)。次はどんな処で彼を見かけることになるのか、それも楽しみだ。

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