2008年12月7日日曜日

パリの暗黒面

記述日時:2006年10月13日16:42

パリから帰ってまいりました。

初めてのパリの印象は一言で言うと重たい街でした。
といっても悪い意味ではなく、そこかしこに歴史の重みが感じられる“重厚な都市”といった意味です。

パリは美しく華やかな街ですが、決して軽やかではなくヒジョーに重々しい町並です。そして人々の気分や文化など全てが引き継いだ長い歴史の重みに影響されているようでした。これは東京のように何度も焼失を繰り返してきた街との大きな違いかも知れません。

こんな話をすると怖がる人もいるかも知れませんが、僕にとっての初めてのパリ訪問を象徴づける出来事がありました。

僕は霊感は乏しいタイプですが、それでも泊まったホテルでは何か感じるものがありました。不思議な夢を見たのです。

異国の街(多分パリ)で白人の婦人が主人公の夢でした。といってもその婦人は既に死んでいて、同じく死んだ夫の亡骸を石畳の道の下に埋めて、その場所にずっと(100〜200年間くらい?)霊として留まっているのです。よく考えてみるとその夫もそれほど良い夫ではなかったのですが、今となってはそれがすがることの出来る唯一の思い出というわけです。しかし、あるときやはりもう死んでいる男が通りがかりました。その男は病気持ちなのか顔をいつも痙攣させています。男は婦人を見て、全てを察し、婦人を怒鳴りつけます。こんな所に留まっていてはダメだ、すぐに出発しろと急き立てるのです。婦人はとまどいつつも、男の言うことが正しいと感じます。

と、ここで目が覚めてしまいました。

この夢がパリの亡霊が僕に見させたものなのか、自分の全くの想像の産物のなかは定かではありませんが、それほどにパリには死者の記録が溢れているのです。

教会や街角のあちこちで「MORT POUR LA FRANCE」と刻まれた碑文を見かけました。「フランスのために死んだ」人々のための碑ですが、国家に殺された人々の霊を鎮めるためのものも多そうです。パリ・コミューンで虐殺された人々を鎮魂する目的で建てられたサクレ・クール寺院がその象徴的なものですし、戦争や革命で人々の血を吸った場所も市内の至る所にあります。

僕はフランスの歴史には疎かったのですが、今回の訪問をきっかけに少し勉強してみたいと思いました。

0 件のコメント: